「音声作品のシナリオの書き方」というタイトルをつけておいてなんですが、実は私、シナリオ書くのとても苦手です。
どれぐらい苦手かというと、普段録ってる音声作品も設定だけ決めて残りはアドリブで台詞を収録しているぐらい苦手です。ノー台本。
しかし、そんな私も唯一気合いを入れて書いてる部分がありまして。
それが「導入部分」です。
というわけで、この記事では音声作品の導入部分をどう書くか、について自分なりのこだわりを語っていこうと思います。
(ここまで導入)
【導入で気をつけるたった一つの事】
さて、ここからが本題。
私が音声作品の導入部を書くうえで気を付けていることはたった一つです。
それは、
「私は誰で、何をする人なのか。あなたは誰で、何をする人なのか。」
これをハッキリさせることです。
「私」というのは、ここでは音声作品に出てくるキャラクターとします。
「あなた」というのは音声作品の聞き手です。
これをセリフ(+SE)だけで、かつわざとらしくないように表現するのは結構難しいです。しかし、ここをこだわることで後の展開が頭に入って来やすくなるので、大事にしています。
【具体例を交えて】
分かりにくいので具体例。
こちらの作品から、導入部分の一部を抜粋。
『ふむ。君が今回、新型のくすぐりマシンの稼働試験に応募してくれた子だね。 一応聞くが……。君は、くすぐられるのが好きなのかい? くくっ、まあ、そうだろうな。 こんなところに来てくれるのは、相当なもの好きか、もしくは……。おっと、ここから先は 言ってはいけないんだった。 まぁともかく、せっかく来てくれたんだ。歓迎するよ。 今回の試験内容はいたって簡単だ。危険もない。 ここに、一台の新型くすぐりマシンがある。これを使用して、感想を聞かせてもらいたい。 それだけだ。簡単だろう?』
こんな感じの導入。
ここから「私」について聞き取れる情報は、
・硬い口調の女性
・くすぐりマシンの試験をする人
→くすぐりマシンの博士で、これからくすぐりマシンの試験をする。
「あなた」について聞き取れる情報は、
・くすぐりマシンの試験に応募した
・くすぐられるのが好き
→これから、くすぐりマシンの試験をするために、くすぐられる。
こんなところでしょうか。
誰が何をするのかハッキリさせて、これからの展開を想像しやすくします。
【おまけ:自然なやりとり】
また、もう一つこだわりが。
できるだけ聞き返しを使わず、自然なやり取りの中で情報が分かるようにしています。
例えば、
『ふむ。君が今回、新型のくすぐりマシンの稼働試験に応募してくれた子だね。』
という台詞を、
『君は誰だい?
「新型くすぐりマシンの試験の募集で来た」?
……あぁ、そういえばそうだったね。』
と変えると。
「あなた」は問いかけに対して「新型くすぐりマシンの試験の募集で来た」と答えていることになります。
しかしそんな答え、作者の私にしかできません。普通の聞き手ではそうはなりません。
自分の答えが勝手に作品上で捏造されて、そのまま話が進む。それでは内容が頭に入って来ません。
だから、できるだけそういう不自然さを排した「自然なやりとり」を目指して書いています。
もし問いかけを入れるとしたら……。
『一応聞くが……。君は、くすぐられるのが好きなのかい?
くくっ、まあ、そうだろうな。』
こんな感じで、ある程度幅を持たせた返答を想像してその後のやり取りを書きます。
あなたは博士の問いかけに対して「はい」と答えてもいいし、真っ赤な顔でうつむいてもいいのです。
くすぐり好きであればおそらくこういう反応になるだろうな、と想像して博士の返事を考えています。
メタな話をすると、この作品買うぐらいですから、間違いなく相当なくすぐり好きでしょうし!
そんな感じで、自然なやり取りを意識して書いてます。
【おわりに】
音声作品の導入で気を付けていることについて語ってみました。
本来書こうとしていたところより、おまけ部分の方が長い。普段どれだけシナリオを書いてないかがバレますね。
そんな人の書いた記事なので、ここに書いてあることは話半分に読んでください。
私みたいに、シナリオと声優を兼務している人なら、とりあえず導入部分だけでも書ければ音声作品は作れちゃうので、ぜひ挑戦してみてください!
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